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西郷隆盛『南洲翁遺訓』より

西郷隆盛の名言・格言  『南洲翁遺訓』より


敬天愛人
(天を敬い、人を愛せよ)


人を相手にせず
天を相手にせよ

道は天然自然の物にして
人は之を行ふものなれば
天を敬するを目的とする
天は人も我も同一に愛し給うゆゑ
我を愛する心を以て人を愛する也

道は天地自然の物なれば
西洋と雖も決して別無し





西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)】より
 

西郷隆盛「南洲翁遺訓」―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫) 

西郷隆盛「南洲翁遺訓」
―ビキナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

■補足

西郷隆盛南洲翁遺訓』は西郷隆盛の遺訓集。
庄内藩の旧臣の人たちが西郷隆盛から聞いた話をまとめて、編集された一冊です。

「維新の三傑」の一人、西郷隆盛。映像や漫画などで、どっぷりとした体躯で、人望厚く、穏やかに人物に描かれることが多いですが、実際のところはどのような人物だったのか?

本書を読むと、明治維新という時代を築いた一人である西郷隆盛が晩年にたどり着いた境地と、その思想を垣間見ることが出来るかもしれません。

上に引用した「敬天愛人」とは、西郷がよく揮毫した言葉だそうですが、「神を愛し、人を愛せ」と言ったキリスト教の教えと共通するところがあります。

心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。
あなたの隣人をあなた自身を愛するように愛せよ。

とは聖書の中の言葉ですが、

道は天然自然の物にして人は之を行ふものなれば天を敬するを目的とする
天は人も我も同一に愛し給うゆゑ我を愛する心を以て人を愛する也

という西郷の言葉と、神と天を置き換えたなら順番も形もまったく同じ内容です。

尚、明治以前の日本には「敬天」と「愛人」というそれぞれの言葉が儒学の思想として存在していたそうですが、「敬天愛人」と一繋ぎになった言葉は使われてはいなかったそうです。

だからといって、「敬天愛人」という言葉は突如西郷によって使われたのかというと、そうではなく、当時のベストセラー「西国立志編」で登場するそうです。
(中村正直によるイギリスの自己啓発書、サミュエル・スマイルズ「セルフ・ヘルプ」の翻訳書)

晩年この書を読み、影響を受けた可能性も考えられますが、儒学を中心とした東洋思想を大切にした西郷隆盛が、単純に西洋の思想をそのまま借りてきただけではないだろうと思われます。

道は天地自然の物なれば西洋と雖も決して別無し

という西郷の言葉から推測すると、恐らくは、「敬天愛人」という言葉を世界を貫く理(ことわり)と見て、東洋の思想と西洋の思想を貫く理想をここに見たのではないでしょうか。

当時西洋の圧力に屈していく東洋の国々を見て、
『西洋も東洋も同じ人間であるならば、同じ理想が共有できるはずだ。「敬天愛人」大義はこちらにあり。』
と考えていたのかもしれません。

「世界」の中の「日本」という意識が覚醒し始めた明治維新前後の時代を象徴する一冊、『西郷隆盛南洲翁遺訓』を歴史に思いを馳せながら読んでみてはいかがでしょうか。

歴史好き必読の一冊。






■関連書籍
 
自助論 西国立志編 下―努力は必ず報われる (教養の大陸BOOKS) スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫   西郷南洲遺訓―附・手抄言志録及遺文 (岩波文庫)
| 政治・歴史の名言 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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