<< 大久保 幸夫 『上司に「仕事させる」技術』 | main | 若松 義人 『トヨタ流「改善力」の鍛え方』 >>

ベルクソン 『笑い』

■哲学の名言・格言 ベルクソン『笑い』


虚栄心の特効薬は笑いであり、
そして本質的に笑うべき欠点は虚栄心である。



純粋に理智の人たちの社会においては、
人は多分もはや泣くということはないであろう。
だが、依然として恐らく笑うことはあるであろう。


引き離れてみたまえ、われ関せずの見物人となって生に臨んでみたまえ。
多くのドラマは喜劇に変ずるであろう。


よき読書家には俳優の素質があるのと同様に、
機智の人には、幾分詩人的なところがある。


おかしみの中に不条理に出くわしても、それは何でも構わない不条理ではない。
それは一定のちゃんとした不条理である。
それがおかしみを創造するのではなく、
むしろそれがおかしみから出て来ているのである。


笑いもあぶく玉を立てる。それは陽気である。
がしかし、それを味わうためにこの泡を採集する哲学者は、
時としてそこに、ほんの少量だが、一抹の苦味を嘗めさせられるであろう。




ベルクソン【笑い】より

笑い
笑い
アンリ・ベルクソン, 林 達夫




■補足
Henri Bergson(1859-1941)
アンリ・ベルクソンは、フランスの哲学者。

ベルクソンの『笑い』は、
笑いについて研究された本で最も有名な一冊。

近年お笑いブームですが、笑いにも、“いい笑い”、“あまりよくない笑い”があるように感じている人がいるかもしれません。「笑いの中には優越感が潜んでいる」とも言われます。場を盛り上げる為に、自虐的、他虐的なネタを簡単に使ってしまうものですが、ベルクソンの『笑い』は、そのような“笑い”の本質を考える際にとても重要な一冊です。

本書のポイントを抜き出すとすると、

・笑いの中の人間性
・笑いに伴う無感動
・笑いの中の社会性


の三つになるかと思います。


○笑いの中の人間性

人は動物や物に対して笑うことがありますが、本書には次のように書かれています。

固有の意味で人間的であるということを抜きにしてはおかしみのあるものはない。

例えば、ある帽子がおかしいとしたら、そこに人間的な何かを感じ取ったときに人は笑うというような意味です。逆に人間に対しておかしみを感じるときは、“機械的なこわばり”があるとベルクソンは指摘しています。


○笑いに伴う無感動

「笑いに伴う無感動」は、ベルクソンの「笑い」の中でもとくに重要なポイントだと思います。「笑いに伴う無感動」とは、“人は共感して笑うのではなく、対象を客観的に見て笑う”というような意味で、逆に言うと、“人は笑うべき対象に共感を見出した時点で笑えなくなる”とも説明できます。

“笑いに伴う無感動”について、本書には以下のように書かれています。


通常、笑いに伴う無感動というものを指摘したい。
滑稽は、極めて平静な、
極めて取り乱さない精神の表面に落ちてくるという条件においてでなければ、
その揺り動かす効果を生み出しえないもののようである。
われ関せずがその本来の環境である。


笑いには情緒より異常の大敵はない。


常に物に感じ易く、生の合唱に調子が合っており、
あらゆる事件が感情的な共鳴を伴うようになっている心の人びとは、
笑いを知ることもなければ、理解することもできないであろう。



ベルクソンの考え方では、“笑い”と“共感性”が対立するということです。最近笑いが減っていると思ったなら、様々なことに感じやすくなっていて、あまり物事を客観的に見られなくなっている可能性があるかもしれません。また逆に、いつも笑ってばかりいる人や、あまりにもブラックなユーモアで笑ったり、人とタイミングが違うところで笑ったりしている場合は、ベルクソンの考え方から言うと、共感性が薄くなっているということです。



○笑いの中の社会性

また、ベルクソンは、笑いの中の社会性を指摘しています。


笑いはこだまを必要としているように思われる。
だが、無限ではなく、一つの円内で進行する。
つまり、笑いは、常に一つの集団の笑いである。



また、次のような言葉もあります。


笑いは何よりもまず矯正である。
屈辱を与えるように出来ている笑いは、
笑いの的となる人間につらい思いをさせなければならぬ。
社会は笑いによって人が社会に対して振舞った自由行動に復讐するのだ。



簡単に言うと、人は“はみだし者”に笑うということでしょうか。“笑い”には、“はみだし者”を笑うことによって“はみだしている”ということに気付かせ、社会の均衡を保つ役割があるということです。このあたりが「笑いに優越感が潜んでいる」と言われる所以だと思いますが、よく考えてみたいところです。


“笑い”についての論点はまだほかにもあるかと思いますが、ベルクソンの『笑い』は、“笑い”についての古典的一冊ですので、まず読んでみたい一冊です。


○他の“笑い”関連の本
人はなぜ笑うのか―笑いの精神生理学 笑いの治癒力 パッチ・アダムス いま、みんなに伝えたいこと―愛と笑いと癒し 
| 哲学・思想・宗教の名言・格言 | 02:07 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
Comment









Trackback
url: http://wisewords.holly.holy.jp/trackback/254076

09
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--
Profile
New entries
Archives
Categories
Recent comment
Recent trackback
Recommend
Recommend
知っておきたい日本の名言・格言事典
知っておきたい日本の名言・格言事典 (JUGEMレビュー »)
大隅 和雄,季武 嘉也,義江 彰夫,神田 千里,山本 博文
Recommend
Mobile
qrcode
Links
Others
無料ブログ作成サービス JUGEM