ダン・ブラウンによる
『ダ・ヴィンチ・コード』は、
殺人ミステリーと歴史ミステリーをミックスさせた内容。
ルーブル美術館の館長が暗号を残した形で殺害され、
犯人と疑われた学者と暗号解読専門の女捜査官が事件に巻き込まれ、
逃走しながら秘密の暗号を解いていきます。
謎解きが面白いですが、途中で入る図像学の解説や、
キリスト教の背後にある秘密の歴史の解説で、
マグダラのマリアとイエス・キリストが実は結婚していたというあたりが
読者にとって興味深い内容になっているかと思います。
本書にでてくる絵解きで、
“最後の晩餐”の中のヨハネが実はマグダラのマリアだという解釈は、
多少厳しいような気がしますが、
そのほかの図像学的解釈は、
よく言われるようなのものも多くあります。
また、マグダラのマリアとイエス・キリストの結婚は、
ナグ・ハマディ文書等などを読むと、
真実味のある話ではあります。
○ダ・ヴィンチ・コード関連オススメ書籍
レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説
マイケル ベイジェント, ヘンリー リンカーン, リチャード リー, Michael Baigent, Henry Lincoln, Richard Leigh, 林 和彦
ダ・ヴィンチコードには、レンヌ=ル=シャトーの謎という本から参考に作られている部分が相当程度あります。ダ・ヴィンチ・コード関連書籍で最も重要な一冊なのですが、amazonの
ダ・ヴィンチコード関連書籍一覧にはなぜか載っていません。
話の重要な部分はほとんどこの本から採られていると言っていいと思います。
○マグダラのマリアとイエスの結婚について
『ダ・ヴィンチ・コード』の中で、
マグダラのマリアとイエスが結婚していた証拠として、
死海文書とナグ・ハマディ文書が出されていますが、
ナグ・ハマディ文書は日本語訳の本が出版されていて、
研究者でなくても容易に手に入り、読むことができます。
ナグ・ハマディ文書はキリスト教初期のキリスト教徒による文献。
通常の聖書にあるのは、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの4福音書ですが、
それ以外の十二使徒による福音書と、マグダラのマリアの福音書があります。
『ナグ・ハマディ文書 1 救済神話 』
『ナグ・ハマディ文書 2 福音書』
『ナグ・ハマディ文書 3 説教・書簡』
『ナグ・ハマディ文書 4』
この中の
『ナグ・ハマディ文書 2 福音書』に、
マグダラのマリアの福音書が入っています。
また、
フィリポによる福音書も入っていますが、
この中で、「彼(イエス)の伴侶と呼ばれるマグダラのマリア」
という文言があります。
当時は30以上の福音書があったそうですが、
異端を排除する歴史の中で消されてしまい、
現在の4福音書(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ)のみになったそうです。
○ダ・ヴィンチの生涯
(記事追加予定)
【サイト内関連記事】
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上
【サイト内関連記事】
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下
○聖杯について
(記事追加予定)
○キリスト教における、異端思想の受容の歴史について
キリスト教と異教・異端の関係は複雑です。
カルケドン信条に代表される、キリスト教が異端を排除してきた歴史と、
逆にキリスト教が異端を受容してきた歴史の二つが複雑にからみ合っています。
少しだけ、キリスト教と、
異端の思想であるキリスト教以前の思想、
また、イスラム教との関りを説明してみます。
イエスが結婚していたという記述は、
イスラム教にも伝わっていて、コーラン(イスラム教の聖典)やハディース(マホメッドの言行録)に嘘か真か分かりませんが、驚くような記述があります。
イエスはマグダラのマリアと結婚していた、
イエスは磔にならず、実は身代わりを立てて生き延びていた等…
実はイスラム教の中には、グノーシス系の思想の影響や、
ネストリウス派など異端キリスト教が入り込んでいる歴史があります。
9世紀、
ギザのピラミッドに大きな穴を開けたことで有名な、
イスラム教のカリフ“
アル・マムーン”という人が、
“
知恵の館”(バイト・アル・ヒクマ)という図書館を作り、
ネストリウス派など異端キリスト教徒たちに
古代ギリシャの思想などを集めさせ、翻訳させています。
そのためにか、イスラム教の中に、
異端キリスト教、グノーシス系キリスト教が持っていた
神秘思想が深いところに入り込んでいます。
ちなみに、ピラミッドに関してですが、
イスラム教徒には次のような伝承があったそうです。
「大洪水が起こっても知恵が保存されるようにピラミッドは作られた」
アル・マムーンはギザのピラミッドに大きな穴を開けて探索しましたが、
よく“盗掘”と言われるので財宝が目的の墓荒らしと思われがちです。
上の言葉と、アル・マムーンが図書館を作らせ、
世界の叡智を集めたところを考えると、
ピラミッド内部の探索は、
古代の叡智がその探索の中心の目的であったとも考えられると思います。
そして、
この古代エジプト・ギリシャの叡智が集められたことによって、
イスラム教神秘主義の学問“
スーフィズム”
“
イスラム教錬金術”がその後に発展していきます。
こういった神秘思想が、十字軍の遠征を通して、
キリスト教に逆輸入されることになります。
その後、キリスト教世界では、ルネッサンス期に異端的思想の研究が過熱します。
プラトン・アカデミーを設立した“
コジモ・デ・メディチ”という人物が、
その神秘思想の中でも重要な、
「ヘルメス文書」を代表する文献を集めさせ、
“
マルシリオ・フィッチーノ”という思想家に研究させていました。
「ヘルメス文書」とは、
ヘルメス・トリスメギストスが語り役として出ている文献、
あるいはヘルメス・トリスメギストスが書いたとされる文献の総称で、
また、ヘルメス・トリスメギストスとは、
“三倍偉大なるヘルメス”という意味で、
ギリシャ神話のヘルメス、エジプトの神トートが同一視されたもの。
ヘルメス・トリスメギストスは、キリスト以前の賢者、
“エジプト・古代ギリシャ”の叡智を語る存在として
ルネッサンス以後、「ヘルメス文書」は盛んに研究されることになります。
ちなみにエジプトにヘルモポリスという地名がありますが、
ここはトート神が祭られている場所で、トート神をヘルメス神とを同一視したギリシャ人によって“ヘルモポリス”すなわち“ヘルメスの都”という意味で名付けられたものです。
プラトン・アカデミーでは、古代の思想が熱心に研究されましたが、
当時のプラトン・アカデミーには、
“
ボッティチェリ”、“
ミケランジェロ”などの代表的な芸術家が通っています。
そのためか、ルネッサンス芸術の中に伝統的キリスト教には異端とされるようなものが相当入っています。
ダ・ヴィンチ・コードでは、レオナルド・ダ・ヴィンチが異端思想の持ち主だったと設定されていますが、
当時のそのような状況を考えると、実際にダ・ヴィンチが異端的思想に触れていたことは想像できると思います。
(ダ・ヴィンチ自身はプラトン・アカデミーの人達とはウマが合わなかったよう。
ただ、ボッティチェリとは仲が良かったようです。
ちなみに、当時の芸術家ヴァザーリの書いた
『ルネサンス画人伝』という本を見ると、
ダ・ヴィンチは「異端的な思想の持ち主」と書かれています。)
○秘密結社の歴史について
(記事追加予定)
○ダ・ヴィンチ・コードをもっと理解するための関連書籍
ダ・ヴィンチ・コードに出てくる図像学の知識は、
一般的に言われているものから一般的になっていないものまで、
ごちゃ混ぜになって出てきています。
ルネッサンス前後の思想史、また、ルネッサンス絵画や彫刻のイコノロジー(図像学)系の基本的な本を読むと、ダ・ヴィンチ・コードに対する理解も深まると思います。
基本的な本としてパノフスキーのものを紹介します。
パノフスキー・イコノロジー研究
図像学関係の基本書。
日本の図像学関係の学者は、パノフスキーの研究を必ずといっていいほど下敷きにしています。分かりやすくはないので入門書というわけにはいきませんが、図像学を詳しく知るためには重要な一冊です。
また、図像学関連で日本のものだと高階秀爾氏や若桑みどり氏のものを。
高階秀爾・『ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土』
高階秀爾氏の本は分かりやすく書かれているものが多いので、ルネッサンス関連の入門書としてオススメです。
若桑みどり・『薔薇のイコノロジー』
また、ユングの本も図像学周辺の知識になると思います。
ユング・『変容の象徴』
ユングは心理学者ですが、
神秘思想や図像学に関して非常に深く研究していますので、
普通の歴史を学んでも見えてこない、歴史の奥に流れている思想史や、図像学関連の知識は参考になる部分も多いと思います。
ただ、
図像学的な解釈は様々な人が様々なことを言っていますので、
色々読んで比較することと、
実物の作品を見ることが大切かなと思います。
あと絶版本ですが、二冊ほど紹介します。
伊藤 博明「ヘルメスとシビュラのイコノロジー」
ルネッサンスの思想背景について書かれた一冊です。
キリスト教が、いかに異端的なものを取り入れていったのか、
その受容の歴史について研究されています。
荒井 献「ヘルメス文書」
ヘルメス文書に代表されるヘルメス思想は、
西洋の科学の発展に深く入り込んでいると言われる、西洋の底流を流れる思想です。
ニュートンなどの科学者が、ヘルメス思想に関するかなりの研究を行っていました。
重要な文献なのですが、これもまた絶版本。
また、謎に包まれたイエスの生涯についての本として、
『イエスの失われた十七年』という本があります。かなり変わった内容の本です。
--以下内容です。
十九世紀、ニコラス・ノートヴィッチは、
チベットで仏教徒に伝わる古文書を発見。
その中に聖書のような内容のものがあり、
モーセの時代のイスラエルからイエス伝の内容が書かれていました。
調べていくと、なんとその中でのイエスは、
インド、チベットまで行っていたという衝撃的な内容。
そこでのイエスは、低いカーストの者達に道を説き、
それが災いして迫害を受けます。
その後、迫害から逃れつつ仏教を学び、
ゾロアスター教の教えと対立、
そしてイスラエルに帰還していたということです。
ニコラス・ノートヴィッチはその内容を複写し、
紹介しましたが、完全にトンデモ本扱い。
当時ほとんど無視されていたそうです。
しかしその後、
ニコライ・レーリッヒという著名な人物が
チベットで同じようなものを発見します。
現代ではあまり知られていないと思いますが、
このニコライ・レーリッヒはという人物は、
万能タイプで、考古学の大学教授にして画家、神秘思想家、冒険家という人物。
歴史上で名前が出ているところの例をあげると、
・ストラヴィンスキーの『春の祭典』の、
舞台美術と考古学的見地からのアドバイザー。
・国際連盟レーリッヒ条約という、
戦争時の文化財保護についての条約の考案。
また、ガガーリンの
“地球は青かった”という有名な言葉がありますが、
実はこれには
“まるでレーリッヒ・ブルーのようだ”という続きがあります。
このレーリッヒ・ブルーとは、画家レーリッヒの使っていた、
神秘的な青を称えて言われていたものです。
つまり、当時のトンデモネタだったものを、
著名な人物が見つけて紹介したもので、
当時、結構な衝撃を与えたようです。
ただ、その後原本が消失、
本当か嘘かも分からず歴史の中に消えていってしまいました・・
--
どこまで真実か分かりませんが・・。
事実だったら面白い話かなと思います。
レーリッヒの本や、画集などに興味のある人は、
アマゾンで
ニコライ・レーリヒの本・画集(洋書)
また、
レーリッヒミュージアムのホームページで、
レーリッヒの絵画作品の画像を見ることができます。
ダ・ヴィンチ・コードの映画を見た人は、是非原作も。
結構夢中になって読めるので、本をあまり読まない人にもオススメの一冊です。
■ダ・ヴィンチ・コード参考サイト・ブログ
ダ・ヴィンチ・コード物知り事典?
ダ・ヴィンチ・コードで出てくる用語の解説がされています。
『世界に学ぶ、日本を知る夜明け前』さん
サルでも分かるダ・ヴィンチ・コードの面白さ
映画の感想とダ・ヴィンチ・コードの魅力について語られています。
『叡智の禁書図書館』さん
ダ・ヴィンチ・コード関連の書籍が数多く紹介されています。
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小説・詩の名言・格言
2006-05-22T10:54:49+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
-
http://wisewords.holly.holy.jp/?eid=251018
ジョイス・ネルソン・パテノード 『自分が思うほどあなたはダメじゃない』
■心理学・自己啓発書の中の名言・格言 『自分が思うほどあなたはダメじゃない』
変化の転機と変化を生み出す力は現在にある。
同じ思考パターンを繰り返すのはやめなければならない。
今こそ変わるべきときだ。
自己発見の旅には決意と勇気が必要だ。
こ...
■心理学・自己啓発書の中の名言・格言 『自分が思うほどあなたはダメじゃない』
変化の転機と変化を生み出す力は現在にある。
同じ思考パターンを繰り返すのはやめなければならない。
今こそ変わるべきときだ。
自己発見の旅には決意と勇気が必要だ。
これは本当の自己に立ち返る旅だ。はっきり決断して、一人で旅立つしかない。
交際や結婚に身を投じることは、学んで成長するために学校に入るのと似ている。
パートナーこそ私たちが自分自身のことを知るために必要な教師だ。
私たちは心を傷つけられたことで過去に関係のあった人びとを責めることがよくある。
たとえば、自由を縛る思い込みを伝えてよこそた両親を責める。
口やかましい内心の声を植えつけた両親を責める。
しかし、幼児期の傷を癒すためには、
人を責めることをやめて、自分自身と両親の存在を素直に認めることだ。
相手の存在をそのまま受け入れることだ。
「そんな悪いことをした覚えはない」と相手は否定して、
言いわけを並べたてるかもしれない。
だがそんなことは問題ではない。
相手を許したことで、自分が解放されるのだから。
【自分が思うほどあなたはダメじゃない―ラクになる生き方52のヒント】より
自分が思うほどあなたはダメじゃない―ラクになる生き方52のヒント
ジョイス・ネルソン パテノード, Joyce Nelson Patenaude, 村上 能成, 町沢 静夫
■補足
『自分が思うほどあなたはダメじゃない』の著者は、
20年のキャリアを持つ女性セラピスト。
悩みがちな人は、
“他人から見た自分”
“何らかの思い込み”
に囚われていることがあるかもしれません。
本書では、
悩みから抜け出し、自分の全体性を取り戻すために、
“囚われ”や“既成の価値観”がどこにあるのかを指摘し、
女性セラピストとしての治療体験や、
著者自身の個人的体験に基づいて、読者にアドバイスしています。
また、心理療法において、
感情のコントロールに言及される場合、
“怒り・憎しみ・不安・恐怖”といった感情が指摘されますが、
“嫌悪”の感情をコントロールすることには、
通常あまり目を向けられないかもしれません。
本書には、以下のような言葉があります。
そもそも偏見とは自分の中にひそむ嫌いな部分を他人に投影して、
軽蔑することにほかならない。
本来の自分を取り戻すためには、自分自身の中にあるそんな部分を認め、
他人のいやな部分をいつくしむようになる必要がある。
“嫌悪”は、“怒り・憎しみ・不安・恐怖”という強い感情に比べて、
あまりコントロールしようという意識の働きにくい感情です。
しかし、嫌悪の感情を放置し、他人に対する嫌悪感をあまりにも持ちすぎることは、人間関係の幅を広げることにも、良好な人間関係を築くことに対しても、阻害要因になってしまうものだと思われます。
幅広く良好な人間関係を築くためには、自分自身に対する嫌悪感に気づき、それを認め、また他人に対しては、なるべく良いところを見つけるようにし、悪い部分に対しても、本書の言う“いつくしみ”のような感情に昇華していく必要があると言えるのかもしれません。
『自分が思うほどあなたはダメじゃない』は、
取り越し苦労、失敗体験を思い出しがちな人、
また、良好な人間関係を築きた人にオススメの一冊です。
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心理学・自己啓発の名言・格言
2006-05-21T23:22:23+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
-
http://wisewords.holly.holy.jp/?eid=247273
遠藤 功 『見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み』
■ビジネス・教養の名言・格言 『見える化』
企業経営はシンプルだ。
見えていない現場は壊れる。見えている現場は創れる。
「見える」こと――それは企業活動の根源的な競争力であり、
生命線なのである。
「見える化」の基本は、相手の意思にかかわらず、
...
■ビジネス・教養の名言・格言 『見える化』
企業経営はシンプルだ。
見えていない現場は壊れる。見えている現場は創れる。
「見える」こと――それは企業活動の根源的な競争力であり、
生命線なのである。
「見える化」の基本は、相手の意思にかかわらず、
さまざまな事実や問題が「目に飛び込んでくる」状態をつくり出すことである。
多くの企業で見られるのは、問題や異常が発見されていないことではない。
多くの場合、問題や異常は誰かの目には認知されている。
重要なのは、そうした問題や異常を「Display」することの大切さ、
すなわち「見せる化」を全員が理解し、
「Display」させる仕組みを埋め込むことなのである。
「小さな異常」に気がついて対処することが
「大きな異常」を発生させない唯一の方策である。
本来企業に求められているのは、「結果としての異常」を是正することではなく、
「プロセスにおける異常」を早期に発見し、対処することであるはずだ。
成功は「見える化」しやすいが、失敗を「見える化」するには相応の覚悟と勇気がいる。
しかし、だからこそ、そこから得るものは大きい。
「見える化」という「組織の透明性」は、失敗に対する寛容性からもたらされる。
そして、その根っこにあるのは、人に対する「信頼」である。
人への「信頼」が根底にあるからこそ、「見える化」は成立することを忘れてはならない。
遠藤 功【見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み】より
見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み
遠藤 功
■補足
「人間は見えるものしか見ない、見たいものしか見ない」
とはよく言われますが、
「見える化」とは、そういった“見えない”もの、
“見えにくくなっている”ものを、
“見える”ようにする企業の様々な取り組みのこと。
『見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み』では、
「見える化」とは何かという“見える化の本質”を定義し、
「問題の見える化」
「状況の見える化」
「顧客の見える化」
「知恵の見える化」
「経営の見える化」
というカテゴリーに分け、
体系的に整理して解説しています。
また、様々な企業での
“見える化”の事例を引き出しながら、
“見える化”に取り組む際の留意点やポイントなどが紹介されています。
○「見える化」は「失敗に対する寛容性」がもたらす
本書のポイントは数多くあるかと思いますが、
「見える化」を導入する際に特に重要なポイントは、
「見える化」は「失敗に対する寛容性」がもたらす
というところではないかと思います。
本書で、
「失敗に対する寛容性」について触れられた言葉がありますので、
以下に引用します。
「見える化」という「組織の透明性」は、失敗に対する寛容性からもたらされる。
そして、その根っこにあるのは、人に対する「信頼」である。
人への「信頼」が根底にあるからこそ、「見える化」は成立することを忘れてはならない。
失敗に対する寛容性のないところで
「見える化」だけを推進すると、
責任を追及するギスギスした雰囲気になり、
失敗を起こした当本人が責任追及を恐れ、
失敗を自分で解決しようとして、
逆に深刻な失敗に発展するという可能性があるかもしれません。
ミスをしないよう指導する必要はあると思いますが、
ミスを隠す、
あるいは、ミスを密かに自分だけで解決しようとする行為には気をつける必要があります。
そのためにも、
過度な責任追及を行うのではなく、
ミスが起きた時点で、
情報が即時に伝わる体制を作っていくことが大切だと思われます。
重要なのは、「見える化」と人の評価を直結させてはいけないということである。
■「見る」ということに関する、様々な書籍からの言葉・名言の紹介
また、「見える化」の参考になるかどうか分かりませんが、最後に“見る”ということについての言葉・名言をまとめて紹介したいと思います。
自分のところに人が来るのを待っていては、小さな問題しか目に入らない。
自分が出かけていって、見つけるべきだ。
そもそも大きな問題というのは、
問題を抱えているのを自覚していない人たちのところにあるものだ。
W・エドワーズ・デミング『なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣』より
見るとは、細部を経めぐり、一つ一つにすこしずつ立ち止まり、
そして、ふたたび、全体を一目で把握することである。
アラン『幸福論』より
自分のことを考えるな。遠くを見よ。
アラン『幸福論』より
天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。
誰もが見ていながらも重要性に気がつかなかった旧事実に、気づく人のことである。
塩野七生『ローマ人の物語? ハンニバル戦記』より
“ものを見る”ということは、ものそのもの自身を見ることのみならず、
そのものを通して、ものに投影された自分自身の“ものの見方”を知ることでもあります。
中川佳子『情報を見せる技術』より
いずれにせよ、窓をきれいにすることが必要である。
そうすれば、ものがはっきりと見え、陳腐さだの、
慣れだののせいで視野がうすぎたなくぼやけている状態から解放されるのだ。
J.R.R. トールキン『妖精物語について―ファンタジーの世界』
しかし、「しっかり見ろ」と言った時に、ボールの一点に集中したのか、
少し広げて周辺まで見たのか、ボールの上端を見たのか下端を見たのか。
右を見たのか左を見たのか。
いろいろ見方があるじゃないですか。それを伝えられるかどうかですね。
by田村知則
小川 勝著『イチローは「天才」ではない』より
われわれは事物を別の面から見るばかりではなく、別の目でもって見る。
だからそれらの事物が同じように見えるわけがない。
パスカル『パンセ』より
人はふつう、自分自身で見つけた理由によるほうが、
他人の精神のなかで生まれた理由によるよりも、いっそうよく納得するものである。
パスカル『パンセ』より
芸術とは目に見えるものを写すことではない。
見えないものを見えるようにすることなのだ。
byクレー
ひとつ確かにいえることは、目に見えない世界に何をまこうと、
目に見える世界でそれを刈り取らなければならないということだ。
オリソン・S・マーデン『富をもたらす習慣 失う習慣』より
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ビジネス・教養の名言・格言
2006-05-18T02:57:44+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
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http://wisewords.holly.holy.jp/?eid=245353
『感情力 -自分をコントロールできる人できない人』
■心理学の名言・格言 『感情力』
感情には長短がある。人は感情に突き動かされて、失敗することがある。
だが、その反対に自分や相手の感情に注意深くなることによって、
失敗を防ぐこともできるのである。
人は怒りの感情にとらわれると、
相手が故意に...
■心理学の名言・格言 『感情力』
感情には長短がある。人は感情に突き動かされて、失敗することがある。
だが、その反対に自分や相手の感情に注意深くなることによって、
失敗を防ぐこともできるのである。
人は怒りの感情にとらわれると、
相手が故意にやっていると実際以上に思い込む傾向がある。
「怒り」とつきあう時にあまりしてはいけないことから話を始めよう。
それは心臓によくないやり方、
つまり、「怒りを爆発させる」ことと、「怒りを抑える」ことである。
私たちは「羨望」という感情をなかなか認めることができず、
「正義感」の衣をかぶせてしまうことがよくある。
「喜び」は重要な感情である。
しかし、こう言ってよければ、悲しいほど軽く扱われている。
嬉し涙が出てくる時にはひとつのパターンがあることがわかる。
それは現在の喜びに過去の苦しみや悲しみが混ざっているということだ。
「悲しみ」は人の注意を惹き、同情を引き起こす。
…しかし、現実的に考えると、「悲しみを見せる」ことには二つのリスクがある。
度が過ぎると、まわりの人をうんざりさせ、また弱い人間だと見なされるということである。
したがって、悲しみを表現する時には度を過ごさないよう注意が必要である。
【感情力―自分をコントロールできる人できない人】より
感情力―自分をコントロールできる人できない人
フランソワ ルロール, クリストフ アンドレ, Francois Lelord, Christophe Andr´e, 高野 優
■補足
『感情力』は、
「怒り」「羨望」「喜び」「悲しみ」
「羞恥」「嫉妬」「恐怖」「恋愛」
などの感情のメカニズムを、多様な心理学者の立場を踏まえつつ解説し、感情との上手なつきあい方について語られている一冊です。
本書では、一つ一つの感情について詳しく書かれていますが、全ての感情について解説するとあまりに多くなってしまいますので、興味を惹かれたところだけ、少し書いてみます。
○「感情に身を任せるのも、感情を抑えむのもいけない」
よく言われることですが、本書では、感情のおもむくままに生きることは、感情のコントロールがどんどん難しくなっていく原因になると指摘されています。感情と上手につきあうためには、感情を抑えるでも発散させるでもない方法を学ばなくてはいけません。
本書に以下のように書かれています。
嫌な感情を静めようと思ったら、その感情をことさら発散させようとしないほうがいい。それはむしろ逆効果である。要するに、感情に身を任せてはいけないのだ。
しかしそのいっぽうで、感情というのは抑えこんでもためこんでもいけない。
怒り・悲しみといったネガティブ感情は、それを表明することによって増幅し、習慣化する傾向があるそうです。
悲しいときに涙を流して癒されるのは、あくまで他人の共感が得られた場合のようで、自分だけで涙を流して悲しみにくれた場合や、他人の共感が得られなかった場合は、逆に悲しみは増幅し、悲しみが常態化してしまう可能性が高いということです。
また、人は怒りの感情を表明すると、些細なことでもイライラしやすくなる傾向があり、怒りを表明することで、
さらに怒りっぽい習慣を身につけてしまうと指摘されています。
また、
「
不満を持つ人や怒る人は自分が正しいと思い込む傾向がある」
という考え方もありますので、
あまり主観的な立場からのみではなく、
状況を客観的に見る、
あるいは相手の立場で見ることも大切かと思います。
マイナス感情を生み出す三つの根源のうちの一つは、「正当化」です。自分が怒ったり腹を立てたりする正当な理由があると思い込んでいる人は、マイナス感情にとらわれます。
ブライアン・トレーシー「ゴール」より
なにより、「感情に身を任せない」ということが大切だということでしょう。
○「感情の反響効果」
また本書では、
「感情の反響効果」というものが説明されています。
「感情の反響効果」とは、いくつかの感情が互いに反響しあうことでより複雑になり、非常に強い感情になったり、長く引きずってしまうというもの。
どうしてほかの感情が結びついていると、悲しみは癒されにくいのか?それは一種の「反響効果」のようにそれぞれの感情がほかの感情を刺激して、活性化してしまうからである。
悲しみの感情は、「不安」と結びついたり、「怒り」と結びついたりして、長く癒されにくいものになると指摘されています。したがって、悲しみが長引いている場合は、複数の感情を解いていくように自分や他人と向き合っていくといいかもしれません。
また、
「恥と怒りのスパイラル」というものがあります。
本書では、感情の反響効果によって、恥と怒りとがお互いに刺激しあい、復讐心は強い感情になる指摘されています。
屈辱を受けた人間は怒りを増幅させ、激しい攻撃でその恨みを晴らそうとする
悲劇的な事件の背景には、復讐心にある場合が多いと思われますが、相手を追い込むまでの恥を与えることほど復讐心を呼び起こすものはありません。
「窮鼠猫を噛む」という言葉がありますが、立場的に人を追むことは、その人に攻撃心を持たせてしまう可能性があります。
また、恥という感情は、劣等感を刺激して非常に長引くものでありますので、復讐は相当時間が立っても行われる可能性があります。
人の恨みを買わないためには、他人も恥を与える行為は慎むほうがいいでしょう。
また、逆の立場から言えば、恨みを晴らすという行為には、必ず後悔がついてくるものだと思います。
もし誰かに対する恨み心を引きずっているのなら、恨み心の原因となった、恥の感情の背後にある劣等感を克服することで、感情の反響効果をストップさせることができるかもしれません。
「感情の反響効果」は、同じく嫉妬心でも起こります。
嫉妬心は、主に「怒り・不安・悲しみ・羞恥」の感情がミックスしていると言われています。
たとえば、自己評価の低い人は、劣等感と不安とが結びつきやすく、嫉妬の感情が表れやすくなります。
本書では、嫉妬心は隠れやすく、表現しにくい感情であるため、まず嫉妬を抱いていることを認めることが大切だと解説しています。
大切なことは、「嫉妬」を抱かないことではない。「嫉妬」を認めたうえでコントロールすることなのである。
○「感情力の定義」
最後に本書での感情力の定義を引用しておきます。
・怒りでも悲しみでも嫉妬でも喜びでも、
自分がどんな感情を抱いているかに気づき、
またそのことを率直に認める能力。
・人間関係を壊すのではなく、
コミュニケーションがうまくいく形で感情を表現する能力
・感情に突き動かされたり、
反対に激しい感情のせいで何もできなくなったりするのではなく、
感情をうまく利用して適切に行動する能力
・相手の感情を理解し、適切に反応する能力
簡単にまとめると、
「自他の感情を理解し、適切に対応できる能力」
ということになるかと思います。
一つ一つの感情について書かれた本は沢山ありますが、
『感情力』は、感情全般について書かれていて、よくまとまっている一冊だと思います。
自分や他人の感情を理解し、ビジネスにも家庭にも活かせる“感情力”を磨きたい人にオススメの一冊です。
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心理学・自己啓発の名言・格言
2006-05-16T03:07:53+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
-
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ブライアン・トレーシー 『ゴール―最速で成果が上がる21ステップ』
■ビジネス・教養の名言・格言 『ゴール―最速で成果が上がる21ステップ』
より遠い未来について考えれば考えるほど、
それを実現するためのよりよい決断を、今、下すことができるのです。
リーダーになる人というのは、人並みの、
あるいはそれ以下の能力やチャ...
■ビジネス・教養の名言・格言 『ゴール―最速で成果が上がる21ステップ』
より遠い未来について考えれば考えるほど、
それを実現するためのよりよい決断を、今、下すことができるのです。
リーダーになる人というのは、人並みの、
あるいはそれ以下の能力やチャンスを活かして、
偉大なことを成し遂げていくのです。
ありがたいことに、考え方というのはどれも生まれたあとから身についたものです。
ですから、役に立たない考え方は捨てることも可能なのです。
彼らが成功したのは、計画どおりに実行したからではなく、
計画を立てる過程でビジネス上の鍵となる要素について考えたからなのです。
心理学者たちの間では、「コントロールの実感」こそが幸福、自信、パワー、
充足といった感情の鍵であるという見解で一致しています。
そして「コントロールの実感」は、
時間管理を見事にこなして初めて得られるものなのです。
一番目に何をするか、二番目に何をするかを正しく決めることは、
同時に何をしないかを正しく決めることであり、
その能力こそが人の人生を決めるのです。
正しく導かれ、統率されないプラス思考は、
あっという間に「ポジティブ願望」や「ポジティブ希望」に成り下がってしまいます。
本来、プラス思考はより高い目標達成のための
意欲を燃やすエネルギーとなるはずのものです。
勇気を育み、恐怖心を消すプロセスは、
勇気と自信のある行動をとることから始まります。
【ゴール―最速で成果が上がる21ステップ】より
ゴール―最速で成果が上がる21ステップ
ブライアン トレーシー, Brian Tracy, 早野 依子
■補足
『ゴール―最速で成果が上がる21ステップ』は、
実用的でより確実な
目標設定と、その達成方法について語られた一冊。
目標を立てる前段階の考え方から、目標の具体的な立て方、
そして目標を達成する上での計画的行動のススメなどが丁寧に解説されています。
例えば、本書の方法で、ダイエットの目標設定を説明しますと、
「体重を〜kg以下にする」が、ダイエットでの正しい目標設定になります。
「やせたい・やせる!」ではただの
“願望”であって
“目標”になりません。
具体的でない目標では、具体的な計画を立てることができません。
著者は、数字で出した計測可能な目標のみが、
正しい目標設定の仕方であると主張しています。
以下、本書よりの引用です。
目標というのは、単なる願望とは一線を画すものです。
それは明確で、具体的で、文章にされたものです。
他人に説明しようと思えばすぐにでき、
達成すればそうとわかる、計測可能なものです。
本書の言うところの、具体的で、数量的な目標を立てることは、
努力が無駄にならないためにも非常に重要なことかもしれません。
『ゴール―最速で成果が上がる21ステップ』は、
人生・ビジネスに役立つ具体的な目標・計画の立て方を知り、
効果的な努力をしていきたい人にオススメの一冊です。
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ビジネス・教養の名言・格言
2006-05-14T02:20:27+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
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内田 和成 『仮説思考』
■ビジネス・教養の名言・格言 『仮説思考』
意思決定をするときには、
いますでにある選択肢を狭めてくれる情報だけが役立つのだ。
仮説を使うということは、問題を考えついたり、
答えを探しだしたりするプロセスというよりむしろ、
効率的に不要な問題...
■ビジネス・教養の名言・格言 『仮説思考』
意思決定をするときには、
いますでにある選択肢を狭めてくれる情報だけが役立つのだ。
仮説を使うということは、問題を考えついたり、
答えを探しだしたりするプロセスというよりむしろ、
効率的に不要な問題や役に立たない解決策を消去するプロセスなのである。
分析にはいろいろな目的があるが、いずれの場合においても最も大切なのは、
仮説を検証するために分析を行うということだ。
闇雲に分析してから問題を整理するのではなく、まず問題意識をもって仮説をつくり、
それが正しいかどうかを検証することが、分析を行なう正しい態度である。
少ない情報で、情報をたくさん集めた人と同じ質の推論なり
課題発見なりができる人が、結局は勝つ。
なぜならば、他人が情報を集めている段階で、
より深堀りした課題に進める、あるいは課題の解決策構築にとりかかれるからである。
先見力というと、特定の人だけが先天的に身につけている能力のように思われがちだが、
実は仮説と検証を繰り返すことによって身につけていくものなのだ。
【仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法】より
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法
内田 和成
■補足
『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』は、プロのコンサルタントが実践する
“仮説思考”について書かれた一冊。
“仮説思考”あるいは
“仮説と検証”という言葉は最近よく聞くようになりましたが、耳慣れない人もいるかもしれません。
本書では、仮説、及び仮説思考は以下のように定義されています。
仮説とは、情報収集の途中や分析作業以前にもつ「仮の答え」のことである。
仮説思考とは、情報が少ない段階から、常に問題の全体像や結論を考える思考スタイル、あるいは習慣というべきものである。
仮定思考を実践すると、闇雲に思考や情報収集を重ねていくより、時間や資源を節約することが可能になります。
また、仮定の精度が高くなることによって、より仕事のスピードが早くなっていくというものです。
どんな人でも仮説と検証のプロセスは使っていると思いますが、たいていの場合は経験から得られた“独自のカン”であったり、たまに行うものであって、あまり徹底したものではないかもしれません。
『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』は、
プロのコンサルタントが実践で鍛え上げた、“仮定思考”を学ぶことができる一冊ですので、より精度の高い仮説設定力と、より確実な仮説検証力を身に付けるヒントになると思います。
仮定思考とは何か、また、仮定の精度を高めていくための思考法、仮定検証のテクニック、仮説思考力のトレーニング法が詳しく解説された一冊です。
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ビジネス・教養の名言・格言
2006-05-12T02:32:28+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
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ウェイン・W・ダイアー 『自分のための人生』
■自己啓発書の中の名言・格言 『自分のための人生』
人間である以上問題の一つや二つあって当たり前と受け止め、
問題の有無を幸福の基準としない人こそ、
われわれが知るかぎり最も知的な人々である。
感情は物事の一つの反応として自ら選び取るものであ...
■自己啓発書の中の名言・格言 『自分のための人生』
人間である以上問題の一つや二つあって当たり前と受け止め、
問題の有無を幸福の基準としない人こそ、
われわれが知るかぎり最も知的な人々である。
感情は物事の一つの反応として自ら選び取るものである。
…自分がこう感じたいと思うがままに感じられるようになれば、
やがてそれは「知性」へと続く道に出たことになる。
これまでの人生を振り返ってみるとわかることだが、
私たちは自分がやってしまった事柄については、ほとんど後悔の念を感じない。
辛い気持ちになるのは、たいてい自分がやらなかったことのせいである。
自分が満足しようとしてはじめて、相手にも満足を与えることができる。
自分が楽しくなければ、普通、相手もがっかりするものだ。
何という皮肉!一番他人の賛同を得そうな人は、
決して賛同を求めず、望まず、そんなことに心を奪われたりしない人なのである。
愛情というのは、
条件を課すことなく相手によって否応なしの状態を強いられることなく、
自由な状態でいることを許すような結びつきである。
自分が避けているものが何であれ、それに取り組むことだ。
不安に対する最善の対抗手段は行動なのである。
彼らは人を笑うのではなく、人とともに笑うのだ。
人生を笑うのではなく、あらゆるものを笑いの種として見るのだ。
【自分のための人生】より
自分のための人生
ウエイン・W.ダイアー, 渡部 昇一
■補足
Wayne W.Dyer(1940-)
ウェイン・W・ダイアーは、心理学者。
マズローの「自己実現」の心理学を発展させた、
「新個人主義」の心理学の旗手です。
『自分のための人生』は、
心理学者である
アルバート・エリスの影響を強く感じる一冊。
本書の以下の言葉などは、エリスの
“論理療法”の考え方とほとんど同じです。
自分自身の思考をコントロールでき、
さらにその思考から感情が生まれるとすれば、
感情に先立つ思考に働きかけることによって感情をコントロールできるはずである。
誰かに許してもらわないうちは、気分が落ち着かないというのなら、
自分の感情をその人たちに支配されているわけである。
確かに怒りは抑えるよりも発散させてしまったほうが健康的である。
しかし、健康的というなら怒りなど全然抱かないほうがもっと健康的である。
そもそもはじめから腹を立てなければ、怒りを爆発させるべきか、
あるいは抑えるべきか、などといって悩むこともないわけである。
このサイトで論理療法は以前にも紹介していますが、
簡単に説明しておきます。
論理療法とは、
「人を悩ませているのは出来事ではなくて、それについての思惑なのだ。」
と語った、ストア哲学者
エピクテトスの考え方を心理学へ応用したもので、
・感情の前には思考がある。
・思考をコントロールすることで、感情をコントロールすることが出来る。
という前提で物事を捉え直す、とてもシンプルな考え方です。
思考のコントロールにおいて、
因習や過去の教育で作ってしまった、「〜べき」「〜はず」という非論理的思考、
“イラショナル・ビリーフ”を論破するということが、
論理療法の核になります。
つまり倫理的ではあっても、非論理的な思考「〜べき」「〜はず」という考え方を、
「〜が望ましい」「〜にすぎない」に変えることで、
怒りや不満などの感情のコントロールをしようというものです。
自己啓発物の書籍には、大抵どこかに同様の内容が出てきますので、
覚えておいて損はない考え方です。
ダイアーの考え方では、
幸福の中心点を、感情をコントロールする力、
“平静心”に置かれています。
心を他人に合わせなくていいとする個人主義的な考え方は、
一歩間違えると利己的に見えなくもないですが、
“他人や環境に求めない”という意味で、
“愛を奪う立場からの脱却”になっていると言えるでしょう。
『自分のための人生』は、
他人や環境に心を揺り動かされがちになっている人、
心が“粘着質”になっている人にオススメの一冊です。
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心理学・自己啓発の名言・格言
2006-05-10T01:40:37+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
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畑村 洋太郎 『「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか』
■失敗学の名言・格言 『「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか』
「逆演算思考」を始めることである。
うまくゆく方法を精緻に作り上げる“順方向”の考えでは、
必ず“抜け”が出る。
失敗を防ぐためには、まず具体的な失敗を仮定し、
それに至る道筋を逆にた...
■失敗学の名言・格言 『「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか』
「逆演算思考」を始めることである。
うまくゆく方法を精緻に作り上げる“順方向”の考えでは、
必ず“抜け”が出る。
失敗を防ぐためには、まず具体的な失敗を仮定し、
それに至る道筋を逆にたどる“逆方向”の考えをする以外に方法はない。
水に流してはいけない。
こと事故においては、失敗の記憶を保存しないと次の事故を防げないからだ。
失敗という授業料を払ったのだから、学べる限りを学び取ることが大事だ。
だれがいけない、あのやり方がおかしいというより、
今の我々の実力はこの程度だと素直に認め、
皆が気づかずにいる雰囲気に気付いてそれを打ち破り、
新しい段階に進もうではないか。
小さな失敗を大きな失敗につなげないためには、
責任追及だけでなく、失敗がなぜ起きたのかという原因究明と再発防止策をたてることだ。
そのためにも隠れたがる失敗情報を組織内で
伝わる仕組みをトップダウンで作るべきである。
当事者は類似事例が目前に起こっても
“これは分野が違う”“あれは背景が違う”と学ぶチャンスを捨て、
結局、何も学んでいないことが多い。小異に気が回り、大同が見えないのだ。
事故は事故を起こした企業の責任であるが、
いったん起こってしまった事故は、もはや社会全体の「共有財産」なのである。
【「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか】より
「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか
畑村 洋太郎
■補足
畑村洋太郎氏は、
“失敗学”の提案者。
工学院大学国際基礎工学科教授。東京大学名誉教授。
“失敗学”とは、様々な形の“失敗”の要因・対策を考え、知識化することで、
次の失敗を防ぐのみならず、創造的な活動に生かそうというもの。
『「失敗学」事件簿 あの失敗から何を学ぶか』では、
尼崎JR脱線事故など、古今の“列車脱線事故”
“みずほ証券の誤発注事件”
“東京電力原発事故”
“三菱自動車の連続不祥事”
“H-・Aロケット打ち上げ失敗”
“六本木ヒルズ回転ドア事故”
“雪印牛肉偽装事件”など
様々な事故・事件の“失敗”事例から、
要因とその対応策を紹介しています。
たいていの場合、大きな事故・事件が起こると、
組織的な怠慢が大きな原因として、トップの責任追及に終始しがちです。
しかし、著者の畑村氏は、
責任追及のみでは失敗の本質をつかめないと言い、
責任追究と原因究明を分けて説明しています。
失敗を責任追及で終わらせず、要因を様々な角度から分析し、
他者に伝達できるものにするための“失敗の知識化”を行うことを提唱しています。
ちなみに、
“失敗学”は過去から学ぶものだけと思ってしまうかもしれませんが、
失敗を“逆演算思考”によって想定し、
創造的活動に生かそうという未来志向の側面もあります。
本書の最後には、著者の畑村洋太郎氏と、
セブンイレブンの創始者である鈴木敏文氏との対談が載っていますが、
“仮説と検証を繰り返せ”と唱える鈴木氏の未来志向性は、
著者との共通性を感じることができるように思います。
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ビジネス・教養の名言・格言
2006-05-09T00:34:37+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
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東山 紘久 『プロカウンセラーのコミュニケーション術』
■心理学者の名言・格言 『プロカウンセラーのコミュニケーション術』
自分の判断をもつことは大切ですが、
もっと大切なのは、相手の判断基準を知ることです。
「われわれ」とか「みんな」は、
それを言っている本人の言葉である
老化は現象としては...
■心理学者の名言・格言 『プロカウンセラーのコミュニケーション術』
自分の判断をもつことは大切ですが、
もっと大切なのは、相手の判断基準を知ることです。
「われわれ」とか「みんな」は、
それを言っている本人の言葉である
老化は現象としては、未発達と似ています。
だから、もしあなたが若いのに他人の欠点をあげつらう性質があるのなら、
あなたは若くても老化しているか、逆に子どもっぽいということになります。
「人のこと」を考えて行動することは大切です。
人の心を理解することも大切です。
この場合に心すべき重要なことは、それが「人のこと」である点です。
似た者同士はわかりやすく、異なる者同士は魅力がある。
自分の内側で、外側で、あるいは内側と外側とで、
メッセージが分かれるときには、二つのメッセージを対話させてください。
対話は問題解決の重要な方法ですから。
大切なのは、自分の思いを身体の思いと誤解しないことです。
疲れていると感じているのは自分であって、身体ではないかもしれません。
ひとつを選択しますと、あとのひとつは残ります。影にまわります。
残ったものとの心の調和を図るためには、暗黙の調和が必要です。
暗黙の調和をもたらすものが、暗黙の知恵です。
暗黙の知恵を得るのが「対話」なのです。
【プロカウンセラーのコミュニケーション術】より
プロカウンセラーのコミュニケーション術
東山 紘久
■補足
■サイト内関連記事
東山 紘久『プロカウンセラーの聞く技術』
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心理学・自己啓発の名言・格言
2006-04-28T00:44:28+09:00
名言収集人
JUGEM
名言収集人
-
http://wisewords.holly.holy.jp/?eid=222181
『怒りをコントロールできる人、できない人』
■心理学の名言・格言 『怒りをコントロールできる人、できない人』
行動の習慣を変えたいなら、思考の習慣も変えたほうがよい。
愛から愛が生まれるように、激怒からは報復の心が生じる。
多くの人と同じくあなたも怒りは嫌いな人々に向けるものだと信じ...
■心理学の名言・格言 『怒りをコントロールできる人、できない人』
行動の習慣を変えたいなら、思考の習慣も変えたほうがよい。
愛から愛が生まれるように、激怒からは報復の心が生じる。
多くの人と同じくあなたも怒りは嫌いな人々に向けるものだと信じているだろう。
ところがそれは間違っているのだ。
私たちは、よく知っている人に対して怒るほうが多いのである。
敵意と暴力はしばしば勇気が欠けているから生じる。
怒りや暴力が単に不満が原因で起きることはまれで、
低い欲求不満耐性のために起きる。
個人の成長は、欲求不満を避けることからではなく、
それと直面し、それについて愚痴をこぼすのをあきらめることから生まれる。
ヒトラーを憎むとき、あなたはヒトラーのようになる。
他人の特徴のどこかを嫌うために、他人をすべて非難する人に変わるだろう。
全てを許し、何も忘れるな。
【怒りをコントロールできる人、できない人】より
怒りをコントロールできる人、できない人
理性感情行動療法(REBT)による怒りの解決法
アルバート エリス, レイモンド・C. タフレイト, Albert Ellis, Raymond Chip Tafrate, 野口 京子
■補足
『怒りをコントロールできる人、できない人』では、
「何故Aは〜しないのか?」
という思いの裏には、
理性的な思考と非理性的な思考が存在していると説明しています。
著者のエリスによれば、
理性的な思考とは通常、
「〜が好ましい」であり、
非理性的な思考とは、
「〜であるべきだ。でなければればならない」
というもの。
「〜であるべきだ。でなければならない」という思考は、
建設的なものではなく、
破壊的な感情である怒りや行動につながりやすいと指摘されています。
そして、感情を不健康な“怒り”ではなく、
“健康的な不快感”に変えていく技術、
理性感情行動療法(REBT)について解説されています。
このREBT(Rational Emotive Behavior Therapy)は理性感情行動療法と訳されていますが、日本では、古くからは“論理療法”と知られています。
(本書の著者であり論理療法の創始者であるエリスがRTから、RET、REBTと用語を進化させたため用語の不統一が起きています)
論理療法の基本的な考えを簡単に説明すると、
・感情の前に必ず思考が存在する
・思考を変えることによって、感情をコントロールすることができる
というもので、
具体的には、ABCD理論という理論で、
心と行動のコントロールプロセスが説明されます。
ABCD理論とは、
A:出来事(Activating events)と、C:感情の結論(Consequences)の間には、
必ず、B:ビリーフ(Beliefs/信念・思考)が存在する
そのビリーフには理性的ビリーフと非理性的ビリーフがあり、
非理性的ビリーフを理性的にD:論破(Dispute)することによって、
感情と行動をコントロールすることができるというものです。
この論理療法は、カウンセリングで受けることもできますが、
誰にも依存しないで出来る療法で、自己療法に適した理論と言われています。
また、エリスは不快な出来事に出会ったときに人間がとる行動を、
以下の三つに分けて説明しています。
消極的行動:
何かを欲しいと思っていて、正直にその要求を表現しない、またはそれを手に入れるために実際に努力をしない。間接的、消極的、またいくらか不正直な手段に訴える。自分が本当に欲しいものと欲しくないものを自分で認めないことが多い。不必要に自分自身を抑制し、基本的欲求でさえ否定することもある。心配したり、傷ついたり、怒ったりする傾向にある。
主張的行動:
何かを欲しいと思っていて、それを正直に認識し、ほとんどの場合それを手に入れようとする。自分が欲しいことを十分他人に明かさないままでそれを手に入れようとすることはあるが、他人に対して率直に行動する傾向がある。自己の利益を考え、自己の力を強めたいと感じている。他人の価値や目標を尊敬するが、彼らのよりも自分自身を優先する。活発で表現豊かに行動する。
攻撃的行動:
自分の目標に妨げる他人に対して怒りを感じていて、自分が欲しいものを手に入れるのではなく、彼らの目標を妨げようとする。だが、彼らは反対すべきではない、反対すべきではないと、強く信じている。不適切な方法ではあるが、感情を正直に出す。他人からは本当に望むことを妨げられる。自分自身を十分に表現し、しばしばそれをやり過ぎる。正義を感じ、他人より優れていると感じ、他人を非難しがちである。また、自分の敵意について罪の意識も感じることがある。
上記の「消極的行動」、「主張的行動」、「攻撃的行動」の中で好ましいものは「主張的行動」のみになりますが、
エリスは、主張しないことが、往々にして怒りの原因になっていると指摘しています。
怒りは恥の感情から出てくることが多いように、
「主張しないこと」の根深いところからも生じるのである。
敵意と暴力はしばしば勇気が欠けているから生じる。
様々な人間関係の中で、
怒りやストレスを 溜めて溜めて〜 ボン!
というような感じで、
消極的行動から、極端に攻撃的行動に移り変わることもあるかもしれません。
エリスは、
怒りの感情が、本人にとって身近な人に向けられがちであるとし、
怒りの感情の表出は、
大事な人間関係を破壊してしまう危険性のあるものだと語っています。
怒りを自分の内に溜めてしまうでもなく、
攻撃的な言葉や行動に出るのでもなく、
感情を“健康的な失望感や不快感”にし、
思いやりのある主張的行動をとるようにと勧めています。
論理療法(ABCD理論)は、
理性的になることによって自分も他人も傷つけないですむ、
優れた“心と行動のコントロール理論”になっています。
ちなみにですが、あまりに倫理的で、
“人はどんなときでも絶対に怒るべきではない”という考えを持っているなら、
エリスの理論では非理性的ビリーフと見なされるものになります。
「怒る人に怒る」
というのはよく見る現象ですが、
怒りを向けられて怒りを返さずに不満を溜め込む人と、
怒りを向け合って不平の言い合いになる場合とがあると思います。
不平の言い合いで問題が解決する場合があるかも知れませんが、
人間関係に深い傷跡を残す可能性があります。
また、“人はどんなときでも絶対に怒るべきではない”
というビリーフが過ぎたものになってしまうと、
「怒るなんて……むかむか」
という具合に、自分に対して怒りを向けられたとき、
逆に自分の中に不平や怒りを溜め込む原因になります。
したがって、
“人はどんなときでも絶対に怒るべきではない”
というビリーフを
“怒ることもあるだろうが、怒りを起こさないようにすることがより好ましい”
というビリーフに変え、
自他ともに平静心を保てるよう、穏やかに対話できる方向に向けていくことが望まれる方法になります。
以上が、エリスの言うところの理性的“心のコントロール理論”の簡単な説明です。
『怒りをコントロールできる人、できない人』は、
怒りっぽい人、また、怒りや不満を内に溜めがちな人にオススメの一冊です。
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心理学・自己啓発の名言・格言
2006-04-24T00:24:50+09:00
名言収集人
JUGEM
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アラン 『四季をめぐる51のプロポ』
■哲学者の名言・格言 『四季をめぐる51のプロポ』
終えることによって始めない人は、始めることができない。
哲学には「石」のような哲学もあれば、「幸福」な哲学もある。
何が問題なのかが完全にわかったら、その問題は解決されている。
したがって解...
■哲学者の名言・格言 『四季をめぐる51のプロポ』
終えることによって始めない人は、始めることができない。
哲学には「石」のような哲学もあれば、「幸福」な哲学もある。
何が問題なのかが完全にわかったら、その問題は解決されている。
したがって解決とは問いの真に明晰な把握にほかならない。
大とは小の合計にすぎない。
謙遜のなかには、まだあまりに多くの野心があると、ぼくは思う。
第一の点は、自分に求めている徳を、他者に要求しないことである。
それがはたしてよかったのか悪かったのかは、人の知りえないことである。
坂を転がる石はどんな石も、他の石を転がしてしまう。
いつも存在するものに満足しなければならない。それがよろこびだったら、もっといい。
【四季をめぐる51のプロポ】より
四季をめぐる51のプロポ
アラン, 神谷 幹夫
■補足
Alain(1868-1951)
アランはフランスの哲学者。
アランはペンネームで、本名はEmile-Auguste Chartier。
『四季をめぐる51のプロポ』は、
四季の移り変わりの中で人間世界を考察した、51編の断章。
プロポとはアラン自身が考え出した文学ジャンル。
短いエッセイのようでもあり、
文学的かつ哲学的な文章でもあり、という印象です。
『四季をめぐる51のプロポ』の中に、
人間は水と岩からなっている。水によって若返り、岩によって老いる。
という言葉が出てきますが、
アランの“水の思想”について、
少し他の水の思想と関連させながら書いてみます。
日本的な文化と言われる“水に流す”という考え方があります。
水で身を清める“禊(ミソギ)”の思想から由来しているとも言われますが、
水を理想とし、水の姿から学ぼうとする思想は、
実際には古今東西にあるものです。
“上善は水の如し。水はよく万物を利して、争わず”
と言ったのは中国の思想家、老子で、
“万物の根源は水である”と言ったのはギリシャの哲学者タレスです。
タレスの思想自体はほとんど伝わっていませんが、
アランの水の思想も、
日本的“水に流す”思想と近いところがあり、
“流動的で忘れっぽいもの”を美徳としています。
航跡は何も記さない。
そして嵐の過ぎ去った後の海は、相変わらずの、しかもつねに新しい海である。
byアラン
自分のこころの安らかさと、
流れる身体の均衡と勇気のある忘却を再び見い出すことだろう
byアラン
自分の内でも自分の外でも、
航跡に浸した下着のように、大海の波で自己を洗う者は幸いである。
byアラン
アランは、心と身体を固定したものと考えるのではなく、
水のように流動的なものに意識することを勧めています。
循環が滞ることのないようにすることが、
心の健康にも、身体の健康にとっても大切なことだということでしょう。
また、なにかで記憶を反芻する事もあるかと思いますが、
アランが“勇気のある忘却”と言っているように、
“忘却力”も心の健康にとって必要なものかもしれません。
『四季をめぐる51のプロポ』は詩的で難解な文章ですが、
所々に鋭い考察や諦観した人間観が感じられ、興味深く読める一冊です。
■サイト内関連記事
アラン『幸福論』
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哲学・思想・宗教の名言・格言
2006-04-22T03:02:27+09:00
名言収集人
JUGEM
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http://wisewords.holly.holy.jp/?eid=219421
マルコム・グラッドウィル 『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』
■ビジネス・教養の名言・格言 『第1感』
瞬時の判断を瞬時に下せるのは、情報が少ないからだ。
瞬時の判断を邪魔したくなければ、情報を減らすことだ。
優れた判断には情報の節約が欠かせない。
実は余計な情報はただ無用なだけでなく、有害でもある。...
■ビジネス・教養の名言・格言 『第1感』
瞬時の判断を瞬時に下せるのは、情報が少ないからだ。
瞬時の判断を邪魔したくなければ、情報を減らすことだ。
優れた判断には情報の節約が欠かせない。
実は余計な情報はただ無用なだけでなく、有害でもある。
問題をややこしくするからだ。
複雑な現象の下に隠されているサインを見つけるには、
少しのことがわかればよいのだ。
彼らが必要以上に情報を集めて検討したのは自信を持つためだった。
人の命がかかわっている以上、自信を持つ必要があったのだ。
だが、皮肉なもので、自信を持とうとすればするほど、正確な判断ができなくなる。
正しく判断するには熟考と直感的な思考のバランスが必要だ。
無意識の思考はある重要な点で、意識的な思考とまったく変わらない。
いずれも訓練と経験によって、瞬時の判断力を高めることができるのだ。
【第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい】より
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
M・グラッドウェル, 沢田 博, 阿部 尚美
■補足
『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』は、
『ティッピング・ポイント』の著者、
マルコム・グラッドウィル氏による一冊。
本書のタイトル
“第1感”とは第一印象で瞬時に判断する瞬間的認識力のこと。
“第1感”とは何なのか、
心理学の実験や様々な事例を紹介しながら、第1感の存在を明らかにしています。
第一印象には正しいものもあれば、間違ったものもありますが、
どちらにせよ第一印象というものは後々まで粘る強烈なものがあります。
その第一印象の強烈さついて、著者は謝辞で次のように語っています。
何年か前、私はなぜか髪をのばし始めた。まだ本書の構想が浮かぶ前のことだ。それまでの私はきちんと髪をカットし、役人や政治家にでもなれそうなヘアスタイルで通していた。しかし、ある種のひらめきがあって伸ばし始めた。そして高校生の頃みたいにワイルドなヘアスタイルになった。するとどうだ、私の人生は大きく変わった。今までは一度もなかったのに、やたらスピード違反で捕まるようになった。空港のセキュリティ・チェックに何度のように引っかかり、入念に身体検査をされる。そしてある日のこと、ニューヨークのグリニッチビレッジのはずれを歩いていたら、目の前でパトカーが停まった。警官三人が飛び出してきて、私を取り囲む。…私が容疑者の似顔絵にそっくりなのだと言う。…唯一の共通点は、そう、今にも爆発しそうなアフロヘアだけだ。…アフロヘアを見た瞬間、警官たちの頭に何かの第一印象ができ上がり、ほかの特徴のことは忘れてしまったのだろう。第一印象はこわい。しかし、なぜ第一印象はそんなに強烈なのだろう?
ちなみに、副題は
「『最初の2秒』の『なんとなく』が正しい」ですが、
直観力がどれだけ優れたものかを説明した本というよりも、
誤った直感的判断と、正しい直感的判断を区別し、
“第1感”を正しく働かせるためにはどうすればよいのか解析されている、
といったような内容です。
直観力に優れたプロの目は、どのように見ているのか、
また、なぜプロであっても
“第1感”が曇り、間違った判断をしてしまうのか、
様々な事例を上げ、
“第1感”のメカニズムが徐々に解明されていきます。
『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』は、
正しく
“第1感”を理解し、正しく
“第1感”を働かせるための、
数多くのヒントが詰まった一冊です。
■サイト内関連記事
マルコム・グラッドウェル『ティッピング・ポイント』
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ビジネス・教養の名言・格言
2006-04-21T01:10:52+09:00
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バートランド・ラッセル『幸福論』
■哲学者の名言・格言 バートランド・ラッセル『幸福論』
幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。
そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、
できるかぎり友好的なものにせよ。
人間、関心を...
■哲学者の名言・格言 バートランド・ラッセル『幸福論』
幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。
そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、
できるかぎり友好的なものにせよ。
人間、関心を寄せるものが多ければ多いほど、ますます幸福になるチャンスが多くなり、
また、ますます運命に左右されることが少なくなる。
かりに、一つを失っても、もう一つに頼ることができるからである。
最も満足すべき目的とは、一つの成功から次の成功へと無限に続いて、
決して行き詰ることのない目的である。
そして、この点で建設は、破壊よりも一段と大きな幸福の源であることがわかるだろう。
首尾一貫した目的だけでは、人生を幸福にするのに十分ではない。
しかし、それは、幸福な人生のほぼ必須の条件である。
あきらめには、二つの種類がある。
一つは絶望に根ざし、もう一つは不屈の希望に根ざすものである。
幸福な人生は、不思議なまでに、よい人生と同じである。
【ラッセル幸福論】より
ラッセル幸福論
B. ラッセル, 安藤 貞雄
■補足
Bertrand Arthur William Russell(1872-1970)
バートランド・ラッセルはイギリスの哲学者・数学者。
『ラッセル幸福論』では、
幸福は、関心を自己の内ではなく外に向けることにあり、
その関心を敵意的なものではなく、好意的なものにしていくことが、
幸福の秘訣であると主張しています。
また、
退屈、ねたみ、罪の意識、被害妄想、世間に対する怯えなど、
心のさまざまな側面を精神分析的に探究されている一冊でもあります。
■サイト内関連記事
ヒルティ 『幸福論』第二部
ヒルティ 『幸福論』第一部
アラン 『幸福論』
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哲学・思想・宗教の名言・格言
2006-04-19T02:42:02+09:00
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本多 静六 『私の生活流儀』
■処世の名言・格言 本多清六『私の生活流儀』
環境の支配は、まず環境への適応に始まる。
宇宙万物は一も完成し、確定したものがない。
いずれも不完全、不確定のままでたえず成長し、
進化し、発展しつつ、うつりかわる。
だから、われわれの人生も日に...
■処世の名言・格言 本多清六『私の生活流儀』
環境の支配は、まず環境への適応に始まる。
宇宙万物は一も完成し、確定したものがない。
いずれも不完全、不確定のままでたえず成長し、
進化し、発展しつつ、うつりかわる。
だから、われわれの人生も日に新たに、
日に日に新たに、断じて現状に安んじ、とどまるべきではない。
この世の中は鏡のようなものである。
自分が額に八の字を寄せて向かえば、
世の中という鏡もまた自分に八の字を寄せて睨みかえす。
およそ、一切の努力には、精神と筋肉との併用を要する。
精神に偏すれば病弱となり、筋肉に偏すれば魯鈍となる。
金を使うことも、金を作ることと同様、なかなか骨の折れる仕事だよ。
貯金なくして投資なく、利殖なし。
蒔く種が何も生やすことができぬからである。
ことに必要なのは、貯金の精神であり、貯金をする生活態度である。
いかなる妙案も、いかなる努力も、時勢に逆行しては敗けである。
表面にあらわされた社会現象から、その逆の動きをみてとることは、
時勢に逆行するものではなくて、むしろ、一歩先に時勢に順応するものである。
【私の生活流儀】より
私の生活流儀
本多 静六
■補足
ほんだ せいろく(1866-1974)
本多 静六氏は学者。林学博士。
学者でありながら、貯蓄と投資に励み、
当時における淀橋の高額納税者トップになったこともある人物です。
そのすぐれた貯蓄法、投資法、資産形成の方法は、
現代なお注目を集めています。
『私の生活流儀』は、
本多静六氏自身の生活の中で心がけてきたことが語られている一冊です。
具体的には健康法や、暮らしの方法や考え方、結婚から家庭生活、
勉学・仕事に、貯蓄・利殖の知恵等が語られています。
貯蓄や利殖・投資などの話題が中心の本である、
本多 静六『私の財産告白』と併せて読むと面白いと思います。
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ビジネス・教養の名言・格言
2006-04-17T03:32:18+09:00
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